何を考えているのか、“名古屋で探偵事務所を開く”なんて、言いだしてしまった。
最近知り合った人の影響なのか?
彼の通う名古屋のクラブで、友人を介して知り合った人の中に、どうやら探偵さんがいるらしい。
愛想の良い彼は、それなりにアルバイトをしたり、夜中の仕事も嫌がることはないので、特に“無職”という時期はないのだけれど、その、飽き性な性格に問題があるのだ。
なんで、結婚しようなんて、思ってしまったのかな?
学生時代のアルバイトから、そう言えば、長続きしたことがなかったよな。
「お前だけは、一生飽きないし、オレの長続きする唯一のものだと思ってる」なんて、訳のわからないプロポーズみたいなものに、騙されたのかもしれない。
高校を卒業して、すぐに就職した建築業界では、一応2年続き、会社にも取引先でもかわいがってもらっていたようなのだが、メーカーからの引き抜きで転職。
引き抜きだから、当然、お給料も良くなる。
これが、彼を狂わせる原因になってしまったようだ。
メーカーでは1年半、お仕事をさせてもらった。
そのあと、彼が進んだのは、職人さん。
彼が勤めていたメーカーさんの、の取り付け業者さんで、メーカーの製品を図面から見ていた彼の腕を買って、またまた、引き抜いてもらえたのでした。
でも、そこは、メーカーが注文をとったからこそ、仕事の入る取り付け業者さん。
不景気が進むにつれ、減ってしまった仕事量。
同時に、お給料もみるみる下がってしまったのでした。
そこからの彼は、1年も長続きしない。
結婚したときは、2年ほど続いていたので、本当に約束してくれたものだと、勘違いしてしまったんですね。
それが・・・。
なんで、探偵?
しかも、家賃の高い名古屋でなんて。
当然、反対しますよね。
ところが、彼の決心は固く、もう事務所を開く計画を、勝手に立てていたのです。
結婚式と新婚旅行で貯金を使い果たしてしまった彼に、事務所開く資金なんてないはずなのになぁ。
そんな彼に、誰が調査を頼むのだろう?
こんなおバカな彼だけれど、なぜか放っておけないわたしも悪いのかもしれない。
でも!
彼の、“名古屋で探偵になる”っていう現実的でない夢のために、独身時代に貯めたわたしの貯金を貸してあげるつもりなんてない。
「がんばって資金、貯めてね。」
と、精いっぱいの応援をしてあげた。
もちろん。
彼の分の生活費は、きっちり、いただきますけどね。 |