彼がお願いされた時間は、だいたいが夜中の1時から朝6時まで。
ただ、その時間は、探偵さんが抱えている他の調査や、依頼者からの相談対応もあるので、その日によって連絡がくるので、彼の出かける時間が、ばらばらだったみたいですね。
探偵とは言っても、ほとんどの依頼者は初対面だし、その対調査象者においては、話したこともない人が多いといいます。
それでも、ある程度の話しを聞くと、それが“白”か“黒”か、なんなくわかってしまうみたいです。
でも、たまに起こる、“まさか”のパターンが面白くて、探偵がやめられない、と言っていました。
見た目で“浮気しなさそう”という単純なものではなく、様々な状況を見てきた中でも、「この人は浮気しないだろうな。」と、感じた人が、誰よりも上手に浮気をしていることもあるそうです。
だから人間はおもしろい、のだそうです。
彼が加わった調査。
探偵さんの推理は、“グレーに近い白”。
状況的にみて、浮気しやすいのは一目瞭然。
なのに、アパートには完ぺきに浮気の影がなく、ふいうちに、たまに夜電話をしても、ほとんど旦那さまが出るのだという。
電話に出なくて、すぐに携帯にかけ直すと、そこは騒がしい居酒屋らしき雰囲気が伝わってきたり、お風呂に入っていた、と10分ほどで、かけ直してくれたり。
浮気をしている人に見られる、ちょっとした隙が見当たらないのだという。
それでも、依頼者である奥様からの“なにかわからないけれど、なにかがおかしい”。
その言葉にリアリティがあったらしいのです。
探偵さんも、それがなにかをつきとめたい、という気持ちになったといいます。
そんな探偵さんの話しを聞いて、彼が食いつかないわけはないですよね。
どんどん、のめり込んでいくのでした。 |