彼の加わった調査の依頼者。
奈良県に住んでいるそうなのです。
旦那さまの転勤先が本社のある名古屋市。
かしこい奥さまは、その単身赴任先にある探偵事務所を探したのだといいます。
その方が、交通費やらなんやら、なにかと調査料金が安くなるだろうから、と。
探偵さんの方も、最初の相談は、電話だし、その相談から調査依頼の可能性が高まってくると、奈良県まで出向きますよね。
正式に依頼がくるまでは、“相談無料”なんですけどね。
しかも、ぎりぎりのところまで、値切られたそうです。
すごいですね。
これで決めなかったら、交通費を支払ってでも、それより安く、地元の探偵事務所に依頼してみる、というのですから。
奈良県まで出向いて、その依頼を断られるのはかなりの痛手。
ちょっと安くしてでも、受けた方が得だろう、と判断したそうです。
しかも、この依頼、ちょっと興味があって、自分も本当のことが知りたいと思ったのだとか。
で。
その結果は、というと。
見事“黒”だったんですねー。
しかも、そのお相手、名古屋とか、愛知県内の人ではなく、なんと関西の人だったのです。
あとで、対象者である旦那さまが白状したらしいのですが、会っていたのは月1回程度。
10日間の調査で、よくこの1日に当たったものだ、と、聞いていてもひやひやしてしまいました。
浮気相手は、奈良にいたときの同僚で、結婚して大阪に行ったらしいのですが、離婚して、大阪支店に復帰してきたことがきっかけになってしまったのだとか。
母子家庭になって、普段は子供の面倒をみているので、名古屋までなかなか来られないのですが、月に1回の本社会議にたまに参加するとかで、実家の母親に見てもらっていたんですねー。
会議に参加しなくても良い月でも、夜だけは、名古屋に来ていたみたいです。
昼間は、依頼者の旦那さまは、会議に参加しますから、時間が合わないことが救いですよね。
はたまた、デートのために、自分も会議を休む、という人でもなかったようですから、余計、“なにかおかしい”という程度にしか変化が現れなかったようです。
彼女が仕事を終え、いったん帰宅してから名古屋に来ていたので、到着は終電間際。
旦那さまの方も、彼女がチェックインしてから、そこへ出向いていたみたいなので、一般的には当てはまらない、夜12時近くからの外出だったんです。
そう聞くと、“グレーに近い白”と予想した探偵さんの推理って、すごいと感じました。 |