探偵さんの主な仕事と思われる調査も、まんべんなく入ってくるわけでもないので、忙しいときと、暇なときの差が、1年を通してかなり激しいそうです。
しかも、24時間年中無休。
いつ、相談の電話が入るとも予想できないので、飲み会に参加しても、家族で旅行に行っても、極端な話し、夜ぐっすり眠るときですら、常に携帯を傍らにおいて、気が抜けないのだとか。
そんなことを聞いてしまうと、わたしまで不安になってしまいました。
探偵さんという職業が、思ったほど格好よくなく、意外に地味で、大変なお仕事なんだと気がついた彼。
しかも、フットワークも必要なうえ、相手を納得させる話術、突然のハプニングに対応できる判断力、チラシをなるべくたくさん配るための体力・・・。
いろいろな面で優れていないと、顧客を捕まえられないことを身近で見ていた彼は、自分には無理だと心底感じたようでした。
転職癖のある彼に務まる仕事じゃないですよね。
彼の熱が冷めたころ、探偵さんの仕事もちょうど暇な時期に入り、彼にお手伝いを頼むこともなくなってきたのです。
「よかったらバイトで、チラシ配る?」
と声をかけてもらったようですが、丁寧にお断りしておいた、なんて言っていました。
1日に千枚以上のチラシを配る体力なんて、彼にはありませんからね。
時期的に言えば、ほんの少しの間でしたが、彼から探偵話しを聞くのは、とても楽しかったです。
それが聞けなくなるのは、やっぱり寂しい気もするんですけどね。
たぶん、わたしの方が、かれよりも探偵の仕事に向いている、なんて思ってしまう今日この頃。
女性探偵ってのも、案外格好いいかもしれませんね。
なんて、わたしも彼と全然変わらない発言をしてしまいましたが。
最近の彼。
探偵への夢を断ち切られ、落ち込んでしまうかと思いきや、今度は公務員を目指す、なんて言って、問題集を買ってくる始末。
ほんとに、どうして現実的な夢を追いかけてはくれないのでしょうか?
この夢も、問題集が難しすぎる、と、すぐにあきらめてしまったのは言うまでもありません。
いつか、彼の夢だけの本が書けるんじゃないか、なんて、最近では思い始めています。 |