名古屋の探偵さん。
どうやら、彼の知り合ったこの探偵さんが、彼への影響が強かったようだ。
ちょうど求職中だった彼。
名古屋まで、仕事を探しに行った帰り、いつものクラブへ寄り、そこで知り合ったのだとか。
最初は、時々顔を合わせたときに、話す程度だったらしいのですが、探偵さんの仕事が忙しくなったとき、暇している彼に手伝ってほしいと声をかけてきたのだとか。
かなり親しい人の友人ということもあり、お小遣い稼ぎのつもりで了承したらしいのです。
もともと、推理小説とか映画の好きな彼が、のめり込まないわけ、ないですよね。
“深夜のバイト”という彼の言葉を信じていない訳ではなかったけれど、出かける時間はばらばらで、最初は浮気を疑ったくらいです。
夜中に電話がかかってきて、あっという間に着替えて、家を出たときは、絶対、女からの電話だと思ってしまったのです。
わたしの頭の中での妄想は、
「いますぐ来てくれないと、死んでやる!!!」
くらいの勢いで、電話が来たんじゃないかと思ってしまいますよね。
夜中の電話ですよ!
時間がバラバラの、夜のバイトって、どんな?って、思っていた矢先でしたからね。
さすがに、その日は寝付けませんでした。
2時間しても帰ってこないので、携帯に電話すると、切られていたのです。
もう、絶対に女だ!
なんて、悲しい気持ちになってしまう。
もう、寝不足だし、腹も立つしで、この日、仕事を休む決心をし、彼にケンカをふっかけるつもりでいたんです。
そんなわたしの気持ちを知らない彼が帰ってきたのが、朝の10時半過ぎ。
玄関からリビングに入ってきた彼。
申し訳なさそうに帰ってくるかと思いきや、なんだか興奮気味なように感じました。
しかも、わたしが仕事を休んでいることに気がついていないようだ。
しかもしかも、めちゃくちゃ面白いことがあった!と、その表情に書いてあるような・・・。
とても、浮気して帰ってきた人にはみえなかったんですね。
戦闘態勢で待ちうけていたわたしは、どこか拍子抜けしてしまいました。
と、同時に、気になる彼の表情。
思わず、
「何、楽しいことしてきたの?」
すでに、怒りは収まり、単刀直入に聞いてしまったのでした。 |